フルカラーホログラフィに向けたメタ原子のトポロジー最適化

中田 幸多, 城田 一舟, 岩見 健太郎1
1東京農工大学, 〒184-0012 東京都小金井市中町2丁目24−24−16
Publié en 2026

 当研究室ではメタサーフェスの電磁波解析にCOMSOL Multiphysicsを用いている. メタサーフェスは, 波長よりも小さいナノ構造体であるメタ原子を周期的に配列することによって, 光の振幅, 位相, 偏光などを制御する薄型光学素子であり, ホログラフィやメタレンズなどへの応用が期待されている.  従来の設計では, 円柱や直方体, 十字形状などの比較的単純なメタ原子について, 寸法を変化させることで目的とする位相を得る方法が主に用いられてきた. 特に当研究室では, 四回回転対称性を有するため偏光に依存せず, 2つの寸法パラメータを変化させることで多数の位相を確保できる十字形状を使用してきた[1]. 図1(a)に示すような十字型のメタ原子ライブラリでは, 再現可能な位相の範囲が制限され, 所望の位相を十分に再現することが困難な場合がある.  そこで本研究では, メタ原子の形状そのものを設計変数とするトポロジー最適化を導入し, 位相制御性能の向上を目的とする. ターゲット位相として, 図1(b)に示すようにRGBそれぞれに対して3階調を均一に分布させた27(=3³)点を設定した. 図2に, 十字型メタ原子ライブラリから得られる位相を用いた場合と, 27点のターゲット位相を完全に再現できると仮定した場合のホログラム再生シミュレーション結果を示す. 図2(a)に示す十字型メタ原子ライブラリを用いた再生像と比較して, 図2(b)に示す27点均一分布ライブラリを用いた再生像では, 図2(c)のターゲット画像がより鮮明に再現されている. このことから, 27点の位相を高い精度で再現できるメタ原子の実現が, フルカラーホログラフィの高画質化に有効であると考えられる.  COMSOL Multiphysicsでは, 候補となるメタ原子構造についてRGB各波長における電磁波解析を行い, 透過光の複素透過係数を算出する. 最適化では, 解析によって得られた複素透過係数と, 複素平面上に設定したターゲットとの距離を目的関数とし, RGBの各波長における距離の総和が小さくなるようにメタ原子形状を探索する. 複素透過係数を評価することで, 位相差だけでなく透過振幅も考慮した構造設計が可能となる. 現在はトポロジー最適化による構造探索を進めており, 27点のターゲットを再現可能なメタ原子群の構築を目指している.

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