有限要素法による新規マイクロ波食品加熱技術のモデル化

アベア アンドレス1, 池長 柔羽1, 大津 優斗1, ラベ イヴァン1, 福岡 美香1
1東京海洋大学 食品生産科学部門, 東京 108‑8477, 日本
Publié en 2026

マイクロ波加熱は家庭調理において不可欠な技術となっている一方、近年ではフードサービス産業や食品加工産業における利用も拡大している(Akkaya et al., 2024)。本研究では、COMSOL Multiphysics 6.4 の RF モジュールと熱伝導モジュールを併用し、2 種類の新規マイクロ波食品加熱システムの機能最適化および限界評価を行った。対象としたのは、トレイ上の局所加熱を目的としたフードサービス向け複数容器個別加熱型マイクロ波加熱装置(以下、マルチマグネトロン)と、パイロットスケールのハイブリッド蒸気/マイクロ波殺菌装置(以下、ハイブリッドMW)である。

「マルチマグネトロン」については、2450 MHz・300–800 W で動作する 3 基のマグネトロンを時間的に周期稼働させる有限要素モデルを構築した。モデル食品で検証した後、それぞれ容器に入った米飯、味噌汁、こんにゃくに適用した。その結果、同一庫内に配置された非対象食品には影響を与えず、対象食品のみが加熱される現象が確認された。これは近接界効果によるものと考えられ(Yao et al., 2024)、装置の空間選択的な加熱能力を裏付けるものである。複数食品モデルでは、多孔質媒体の物性値を混合則に基づく見かけ値として設定し、流体領域では自然対流を同時に解析した。これにより、これらのモデル化手法や容器形状の違いが空間選択性および計算収束性に与える影響を検討することができ、各食品が互いに干渉することなく独立して目標温度に到達することを確認した。

ハイブリッドMWについては、誘電損失によるマイクロ波加熱と飽和蒸気との接触による対流熱伝達を同時に解く有限要素モデルを構築した。こんにゃく試料のマイクロ波加熱は、2450 MHz・300 W の矩形ポート境界条件を用いてモデル化した。さまざまな形状・サイズの試料に対して解析を行い、補完的な加熱パターンが生じる条件を評価した。また、収束性向上のために Events インターフェースを用いて庫内の金属プロペラの回転をモデル化し、蒸気撹拌を目的としたプロペラが電界分布に与える潜在的な影響についても検討した。 これらのモデル化手法は、加熱均一性やエネルギー効率を向上させた次世代のフードサービスおよび産業用マイクロ波加熱技術の開発に寄与することが期待される。

Téléchargement