SiO₂封止Ge薄膜のレーザー誘起液相結晶化における熱・応力連成解析

Yilong Zhang1, Zitai Xian1, Takayoshi Shimura1
1Graduate School of Information, Production and Systems (IPS), Waseda University 2-7 Hibikino, Wakamatsu, Kitakyushu, Fukuoka 808-0135, JAPAN
Publié en 2026

レーザー誘起液相結晶化(LLPC)は、走査レーザーでGe薄膜を局所的に溶融し、ビーム後方で再凝固・結晶化させることで、高品質な結晶Geを絶縁基板上に形成する技術である。形成したGeは光通信用の低消費電力光源への応用が期待される。さらに、Ge層をSiO₂で封止すると、GeとSiO₂の熱膨張率差および凝固後の熱収縮が拘束され、Ge層に引張歪みが導入されるため、バンド構造を直接遷移型に近づける効果が期待される。一方、溶融・凝固はマイクロメートル、マイクロ秒スケールで進行するため、内部の温度場と応力場を直接計測することは難しい。 本研究では、COMSOL Multiphysics®を用いて、SiO₂(1 µm)/Ge(500 nm)/SiO₂(1 µm)/Si基板からなる四層構造の三次元熱・応力連成モデルを独自に構築した。Application Libraryモデルは使用していない。直径6 µm、出力1 Wのガウス分布熱源を50 mm/sで表面上に走査した。Heat Transfer Moduleでは見かけの熱容量法により融点1211 Kでの潜熱を考慮し、MEMS Moduleの固体力学解析を連成して熱歪みと応力を評価した。熱歪みの参照温度を融点に設定し、凝固後の冷却過程で生じる応力を算出した。封止構造には自由表面がないため、固定スイープメッシュを用いて計算を安定化した。 解析の結果、走査経路上のGe層は厚さ方向に完全溶融し、ピーク温度は約1270 Kとなった。また、凝固界面近傍に形成される温度勾配の空間分布を可視化し、結晶成長条件を評価するための情報を得た。再凝固領域では、約0.18%の収縮歪みが上下のSiO₂層に拘束され、Ge層内に約12 MPaの面内引張応力が生じた。 これらの結果は、LLPCにおける溶融・凝固挙動と応力形成機構の理解を深め、引張歪みを利用したGe発光素子の実現に向けたレーザー条件および封止構造の最適化に、熱的・力学的指針を与える。

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